モンテッソーリ教育の特徴とは?モンテッソーリ保育園・幼稚園の選び方も解説
教育方法の1つに、モンテッソーリ教育があります。お子さまがいらっしゃるおうちの方のなかには、どのような教育方法なのか知りたい方も多いのではないでしょうか。
本記事では、モンテッソーリ教育を取り入れている保育園・幼稚園の特徴、選び方などを解説します。
目次
モンテッソーリ教育とは
モンテッソーリ教育は、子どもの「自己教育力」を大切にした、子ども主体の教育方法です。自己教育力とは、子どもが自分で自分を育てる力のことを指します。
この教育方法では、大人は子どもを観察するとともに、子どもが自ら選んで力を伸ばしていける環境を整え、見守る役割を果たします。
マリア・モンテッソーリが考案
モンテッソーリ教育の考案者は、医師であり教育家でもあるマリア・モンテッソーリです。
マリア・モンテッソーリは、子どもたちの観察を通じて、「子どもは大人とは別の世界を生きており、その特有の世界における感じ方や学び方も、大人とは異なるものである」ということを発見しました。
モンテッソーリ教育の歴史
モンテッソーリ教育の歴史は、110年以上前までさかのぼります。
イタリア初の女性医学博士であるマリア・モンテッソーリは、ハンディキャップを持つ子どもの治療教育に携わり、子どもの感覚的な欲求を満たせる環境を整えることが、知的水準の向上につながることを発見しました。
1907年に保育施設「子どもの家」の指導・監督を任されたマリア・モンテッソーリは、その施設で上記のアプローチを試みながら健常児たちを観察し、独自の教育法を築きます。これが、現在まで続くモンテッソーリ教育の始まりです。
この独自の教育方法は世界中で支持を受け、日本には1960年代に伝わりました。
モンテッソーリ教育の5つの内容
モンテッソーリ教育は、以下の5つの内容で構成されます。
日常生活の練習
子どもが自分の体や手を、思ったまま動かせるようになることを目的として、「ボタンをかける」「いすに座る」など日常生活での基本動作を練習するものです。
子どもの精神の発達が促進され、できることが増えることで自信も生まれて、自立心も養われます。
感覚教育
感覚教育は、「子どもの知性を育むための重要な教育」と位置付けられており、五感を積極的に使うことでそれぞれの感覚を磨き、子どもの知性や情緒を育むことを目指します。
感覚器官の発達は、すべての知的活動の基盤となります。感覚教育によりものを感じ取る力を育んでいけば、観察力や思考力などさまざまな力を伸ばすことにつながり、自己教育力がさらに進んでいきます。
言語教育
小さな子どもは言葉をぐんぐん吸収し、日々の言語環境のなかで「読む」「書く」「話す」における言葉の正しい使い方や、文章の基本的な構造、ルールなどを学んでいきます。
言語教育では子どもの発達段階に応じて語彙力を向上させ、言葉に含まれる意味や、行間を読む力を育みます。
算数教育
算数教育は、計算ができるようになることではなく、「数の意味」を理解して、その量を体感することを目的とします。
そのため、感覚的に捉えられる「数量」から始める点が特徴です。数量を感覚的に理解してから、数字の読み方や数字へと学びを進めていきます。
また、「数」についての概念が確立されることは、ものごとを抽象化する力や論理的思考力の向上にもつながります。
文化教育
文化教育は、言語・算数以外のさまざまな分野に対する総合学習です。
音楽や美術、歴史や動植物など、子どもが気になる分野についてできる限り多く学び、興味・関心の種を大切に育みます。
モンテッソーリ教育のメリット
モンテッソーリ教育には、次のようなメリットを期待できます。
自立心が育まれる
モンテッソーリ教育の特徴は、子どもの自主性を大切にする点です。例えば、子どもがハサミや針などを使いたがったときは、「けがをするから」と言ってやめさせるのではなく、正しい使い方を丁寧に教えます。
子どもの「やりたい」を尊重することで、自立心が育まれます。
積極性が高まる
モンテッソーリ教育では、子どもが自分で選択することを大切にします。それぞれの興味関心に従い自発的に活動するので、子どもの積極性が高まるでしょう。
また、子どもがその活動を「できない」理由がある場合、大人がその理由に気づいて「できる」ようにサポートすることで子どもは安心感を覚え、「やりたい」という欲求に従って積極的に挑戦できるようになります。
集中力が鍛えられる
モンテッソーリ教育専用の「教具」を使う時間は普通の遊びとは区別され、周りの大人が助け舟を出すことはありません。
あくまで遊んでいる様子を見守るというスタンスなので、子どもは教具に夢中になって取り組むことができ、集中力が鍛えられます。
情緒の安定につながる
モンテッソーリ教育では、一人ひとりの興味関心を尊重します。子どもがやりたいことに夢中になっているときに、周りの大人に妨げられたり、中断させられたりすることがありません。また、子どもが困っていてもあくまでサポートするのみです。子どもが満足するまでやりたいことに取り組めるので達成感を得やすく、自己肯定感が高まることにより情緒も安定しやすくなります。
また、個性を尊重することも方針の1つですが、周りのお友だちと比べられないことも心の安定につながります。
モンテッソーリ教育のデメリット
モンテッソーリ教育には多くのメリットがある一方、次のようなデメリットもあるため注意が必要です。
協調性が薄れることがある
子どもたち一人ひとりの意思を尊重する教育方法なので、「みんなで決まったことをやる」よりも「それぞれがやりたいことをやる」時間が多い点も特徴です。
そのため、一般的な教育方法と比べて、協調性は育まれにくい側面があります。
環境を整えることが難しい
家庭でモンテッソーリ教育に適した環境を整えることは難易度が高く、専用の教具も高額傾向にあります。
また、モンテッソーリ教育を取り入れている保育園や幼稚園のルールを自宅でも実践するとなると、おうちの方に負担がかかるでしょう。
わがままな子に育つ可能性がある
自主性を重んじる教育方法ですが、それが行き過ぎるとわがままな子に育ってしまう可能性があります。
子どもの意思を尊重しつつも、社会で生きていくうえで必要なマナーやルールを教えることも重要です。
モンテッソーリ教育を受ける方法
モンテッソーリ教育を受ける方法としては、次の3つがあります。
家庭で取り入れる
家庭での幼児教育に取り入れる方法です。
お子さまの発達に合わせて教具を選ぶだけでなく、専用のスペースを設けたり、子どもサイズの家具を用意したりと、集中して取り組める環境を整えてあげましょう。
モンテッソーリ教育を取り入れた保育園・幼稚園に通う
モンテッソーリ教育を取り入れている保育園や幼稚園は、一般的な保育園や幼稚園とは環境や教育方針が異なります。
気になる方は、日本モンテッソーリ教育綜合研究所のホームページなどで、近くにある保育園・幼稚園を探してみましょう。
専門の教室に通う
保育園や幼稚園を降園したあと、習い事の1つとしてモンテッソーリ教育専門の教室に通う方法です。
施設によっては、週1回から通える場合もあり、短時間で教育を受けられます。近くにモンテッソーリ教育を取り入れた保育園・幼稚園や空きがない場合などにもおすすめです。
モンテッソーリ教育を取り入れた保育園・幼稚園の特徴
モンテッソーリ教育を取り入れた保育園や幼稚園には、次のような特徴があります。
行事の時間が少ない
モンテッソーリ教育を取り入れた保育園や幼稚園では、特別なイベントよりも日常生活を大切にします。
そのため、一般的な保育園・幼稚園と比べて運動会やクリスマス会など、行事のための練習にかける時間は少なめです。
「教具」と呼ばれる教材を使用する
「教具」と呼ばれる専用の教材を使って活動する点も特徴的です。
教具は子どもの五感や感性を刺激するつくりになっており、子どもの発達段階に合わせて選択します。
「お仕事」の時間を設けている
「お仕事」と呼ばれる、集中して教具に取り組む時間が1日1~3時間程度あります。
「仕事」とはいっても先生がやるべきことを与えるのではなく、子どもがしたいことに取り組む時間となっています。
縦割りのクラス編成
異なる年齢との交流を重視していることから、さまざまな年齢の子どもたちが同じクラスで生活する縦割りのクラス編成となる点も特徴です。年上の子のマネをしたり、年下の子のお世話をしたりしながら、協調性や社会性を学んでいきます。
ただし、0~1歳はまだ異なる年齢の子と一緒に活動することが困難なので、縦割りクラスは2歳以上の子どもを対象としていることが多いでしょう。
モンテッソーリ教育を取り入れた保育園・幼稚園を選ぶ際のチェックポイント
モンテッソーリ教育を受けられる保育園・幼稚園を探す際は、次のポイントをチェックしましょう。
保育園・幼稚園や先生の雰囲気や環境
同じモンテッソーリ教育を取り入れている保育園・幼稚園でも、園によって雰囲気は異なります。できれば直接見学して、園の雰囲気や先生の子どもたちへの関わり方などをチェックし、お子さまに合う園を選ぶことが大切です。
また、教育方針や環境、教具の量なども確認したいポイントです。
先生の資格
国際モンテッソーリ協会や日本モンテッソーリ協会などは、それぞれモンテッソーリ教師に関する資格を発行しています。
モンテッソーリ教育を深く理解している先生がいれば安心して子どもを預けられるので、在籍する先生の保有資格もチェックしておきたいポイントです。
モンテッソーリ教育を取り入れる際の注意点
幼児教育の一環としてモンテッソーリ教育を取り入れる際は、次の2点に注意しましょう。
環境の変化によるリスクがある
モンテッソーリ教育のカリキュラムは、協調性を重んじる日本の学校教育とは、まったく逆のものです。
そのため、小学校に進学後、環境の変化に戸惑ってしまう可能性があります。なかには、環境が大きく変わることでストレスを感じてしまう子どももいるでしょう。
保護者の向き不向きに注意
基本的にモンテッソーリ教育に子どもの向き不向きはなく、最初はうまく適応できない子でも、だんだんと目指す姿に変わっていくと考えられています。一方で、保護者には向き不向きがあるとされています。
例えば、お子さまに対して「こうなってほしい」という希望が強い方は、考え方が合わない可能性が高く、保育園・幼稚園や教室に対して不信感を抱く場合もあるでしょう。
まとめ
モンテッソーリ教育を取り入れた保育園や幼稚園は、専用の教具を使った「お仕事」の時間があったり、縦割りのクラス編成だったりと、一般的な園とは異なる特徴を持ちます。お子さまの自主性や積極性を伸ばしたい方は、ぜひ検討してみましょう。
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