幼児期の発達と、言語獲得プロセスにおいて、「まねっこ」は重要な意味をもっています。
そして、幼児期はまねっこが大好きで上手な時期。幼児期の発達と、言語の獲得、両面から「まねっこ」について解説します。


*本記事は幼児・小学生向け英語教材「Sanrio English Master」の購入者限定コンテンツ「Guide WEB」からの記事の引用です。お子さまの言語習得プロセスについて乳幼児の言語獲得・発達研究で著名な佐藤久美子先生にお話を伺いました。

幼児期の言語獲得の流れとは?

まず、一般的な、幼児期の母語の言語獲得の流れをみてみましょう。

・0歳代
まだ言葉は理解していませんが、おうちのかたの声を聞き、「アー」「クー」などのクーイングや「ばあばあ」「まんまん」などの喃語を発して、音の出し方を学びながら、おうちのかたと愛着の土台をつくります。
・1歳~1歳半ばごろ
意味のある単語を話し始めます。話す言葉は多くありませんが、自分の周りの人たちのやりとりを聞き、見たものと聞いた言葉を一致させながら、少しずつ自分の中に言葉をためていきます。
・2歳~3歳ごろ
急に発語が増え、「ことばの爆発期」と呼ばれる時期を迎えます。2歳を過ぎると、親の話した文をそっくり真似して言えるようになります。聞いた言葉をすぐに繰り返して言いながら、「こういうときは、こんなふうに言えばいいんだ」と、少しずつ理解していきます。
・3歳~4歳ごろ
言葉を理解しようという意識が高まり、物事の背景にあることに「なぜ?」と疑問を持ち始めます。言葉がぐんと増え、だんだんと複雑な文も言えるようになります。
・5歳~6歳ごろ
文法的にも正しい文を言えるようになってきます。思考力の発達とともに、自分の考えを自発的に言えるようになります。


幼児期は、言葉を何度も聞いて口に出し、文法的な間違いもしながら、だんだん正しい表現を定着させていきます。言語の獲得には長い時間がかかりますが、その過程でとても大事になるのが「まねっこ」です。

幼児の発達と英語学習、まねっこの3つの意味。

幼児期のまねっこは、聞いた言葉を発語して定着させるのに有効な方法であるのはもちろん、他にも重要な点があります。特に大きな3つの意味をみていきましょう。

まねっこが育む、かけがえのない安心感と、語彙の発達。

実は、まねっこは子どもがするだけでなく、おうちのかたも子どもの声に反応し、まねっこしていることが多いのです。赤ちゃんが「アー」「ウー」と言うと、近くにいるおうちのかたも似たような音を出してあやしたりします。赤ちゃんは自分が声を出すと応じ返してくれるのだとわかると、安心した気持ちになり、心の安定が育まれます。

2歳くらいになると、「ハトがいたね」といったら「ハト いた!」、「お花がきれいだね」「おはな きれい!」など、おうちのかたの言葉をまねっこするようになります。日本語の母語の研究では、子どもが親のまねっこをするだけでなく、親も子どものまねをするということがわかっています。親にとっても、子どもが発話を返してくれると嬉しく、親子でまねをし合うことで、コミュニケーションの土台が作られていきます。

さらに、会話でまねっこをする割合が高い親子の子どもは発話量が多く、発話量の多い子どもは、語彙力も高いという研究結果もあります(佐藤久美子他、2012年)。おうちのかたの応答は、母語の獲得にとても大事な役割を担っています。

耳がいい幼児期は、英語特有の音を聞き分け、きれいな発音ができます。


まねっこをするには、耳で音を聞きわけ、口で再現をします。つまり、きちんと正しい音を聞き取れていないと、正しい音の発音はできません。

日本人は「L」と「R」の聞き取りや発音が苦手です。日本語の「ラ」の音は、「L」でも「R」でもない音。日本語で生活をしていると「L」と「R」の聞き分けは必要がないため、脳の聞き分ける力は失われていきますが、幼児期に英語特有の音を聞いていると、音の聞き分けができるようになります(佐藤久美子他、2015年)。さらに、正しい音を聞き、発音をまねっこすることで、きれいな発音を習得することができます。

大人になると聞き分けや正しい発音が難しくなりますが、言語獲得の過程にある発達段階の子どもには難しいことではないのです。

幼児期はまねっこが大好き。

特に2歳くらいの子どもは、まねっこが上手です。ワーキングメモリが発達する時期でもあり、聞いたことを即時に言う遊びを楽しみます。体のコントロール力がついて、自分の体を思うように動かせるようになることもあり、ポーズや動きをまねする遊びも楽しみます。この時期、「Jump!」と言いながら実際にジャンプするなど、英語の言葉と動きを連動してまねっこするような遊びは、子どもが楽しめて、理解しやすいというメリットがあります。

また、頭の中でイメージする力が育ち、ごっこ遊びができるようになります。おうちのかたが、ぬいぐるみであいさつをするなど、役になりきりながら、英語のやりとりをする遊びもよいでしょう。Movies内のやりとりをまねっこで再現してみるのもお勧めです。

教材でまねっこ遊びをやってみましょう!

Sanrio English Masterでは、お子さまが言いやすく、言ってみたくなる言葉をリミカルなチャンツにのせ、楽しくまねっこを促します。

幼児期はまだ記憶する単位が小さいので、各Lessonの映像の中に同じフレーズを繰り返し入れ、定着を促すようにしています。おうちのかたにとっては、繰り返して出てくるタイミングが早く、多いように感じられるかもしれませんが、子どもに英語のフレーズが定着しやすいよう設計しています。

また、MoviesのStoryは、キャラクターたちの様子を見て、生活の様子を疑似体験できます。日々の生活の中で役立つフレーズもたくさんあります。「Eddyもクッキー食べていたね。It’s yummy!」とフレーズを使うと、やりとりのまねっこを促せます。

なお、お子さまによって、まねっこをよくする子、あまりしない子がいます。

あまりしない場合は、おうちのかたがまずは声を出してみたり、まねっこのお手本を見せたりすると、お子さまも「言ってみよう」という気になるかもしれません。ただ、言葉の発達は個人差が大きいもの。すぐにまねっこしないからといって、焦る必要はありません。お子さまのペースを大切に、楽しんで取り組んでみてください。

※発達には個人差があります。

取材・監修/佐藤久美子先生

お話を伺ったかた:佐藤久美子先生

「Sanrio English Master 」英語教材監修。元NHKラジオ「基礎英語」講師。NHK Eテレ「えいごであそぼ」「えいごであそぼ with Orton」「えいごであそぼMeets the World」総合指導。玉川大学・大学院 名誉教授。乳幼児の言語獲得・発達研究に従事し、その科学的成果に基づいて、楽しく学べる英語カリキュラム・教材を作成。多数の小学校、教育委員会で研修講師をつとめる。

Sanrio English Masterについて

「Sanrio English Master 」は幼児・小学生向けの英語教材です。お子さまが遊んでいるうちに自然と発話をする工夫が盛りだくさん。フォニックス、チャンツ、TPRなど効果的な教育法を採用しつつ、さらにサンリオならではエンターテイメントを加えています。是非、無料サンプルや教材無料体験をお試しください。